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「明日から音楽をやめますと言ったら、何人の人が悲しみますか?」
(クラウス・ヘルヴィッヒ先生)
そう問いただされた時私は、音楽人生で最大のスランプを迎えていました。
レッスンやコンサートを控えているのにピアノの蓋を開けただけで
吐き気がするので、先生に電話をして、正直に「ピアノを弾きたくなくなった」
と相談しました。
先生はそんな私をご自宅に招いて下さり、食事の席でこの質問を
投げ掛けられたのです。
考えてみると、今までに大金を投じて育ててくれた両親と、子供の頃から
かわいがって下さった先生方のほかに「青柳」がピアノをやめて本気で
悲しがる人は確かにいません。
つまり先生が言いたかったのは、こういう事です。
「音楽はあなた無しでも悠然と存在する。
あなたは音楽無しで悠然と存在できますか?」
興行的な成功や認知度を差し置いても、本気で音楽を欲してさえすれば
満ち足りているのが音楽家の筈なのです。
今でも心に残る貴重な言葉です。
青柳晋(ピアノ)
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